Nakatolab Open Seminars

Nakato lab open seminars

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Nakatolab Open Seminars

中戸研究室では、不定期で外部研究者を招いたセミナーを開催しています。
公開セミナーと非公開セミナーがあり、公開セミナーは対面とZoomのハイブリッドで開催され、どなたでも参加できます。

本セミナーはAMED-PRIME「頑健なデータ駆動形エピゲノム解析を実現する情報解析システムの構築」のサポートを得て実施した「マルチNGSオミクス解析研究会」に端を発していますが、現在は中戸研の公開行事として継続しています。

過去のセミナー

第17回 (2023年11月24日(水) 15:00-16:30)

Speaker 1: 井元 佑介 先生 (京都大学高等研究院ASHBi 特定准教授)

タイトル: 1細胞データ科学への数理科学の挑戦

Speaker 2: 藤岡 秀成 先生 (京都大学大学院 医学研究科 免疫細胞生物学 助教)

タイトル: Single cell multiomicsにより解明されるヒトCD4+ T細胞の一生

第16回 (2023年10月23日(月) 16:00-18:00)

Speaker 1: Prof. Hsueh Fen Juan (National Taiwan University)

タイトル: Systems biology-based drug repositioning

Speaker 2: Prof. Hsuan Cheng Huang (National Yang Ming Chiao Tung University)

タイトル: Learning Gene Networks from Single-Cell Data

第15回 (2023年3月8日(水) 15:00-16:00)

Speaker: 神元 健児 先生 (Washington University)

タイトル: Dissecting cell identity via network inference and in silico gene perturbation

要旨:
 Recent technological advances in single cell sequencing enable the acquisition of multi dimensional data in a high throughput manner, revealing the existence of heterogeneity and the diversity of cell states and identities To dissect the regulatory mechanisms underlying such phenomena, many computational methods to infer Gene Regulatory Networks ( have been proposed However, the biological network is so complex that it is challenging to understand how GRN systematically dictates cell identities There is significant demand for new methodologies that bridge the gap between cellular phenotypes and the underlying GRN model Thus, we have developed a new method, CellOracle for the analysis of GRNs CellOracle first infers sample specific GRN configurations from single cell RNA seq and ATAC seq data Our GRN models are designed to be used to simulate cell identity changes in response to gene perturbation This simulation enables network configurations to be interrogated in relation to cell fate regulation, facilitating their interpretation We validate the efficacy of CellOracle to recapitulate known outcomes of well characterized gene perturbations in developmental processes, including mouse and human hematopoiesis We also apply CellOracle to zebrafish embryogenesis, systematically perturbing transcription factors and experimentally validating key candidates, identifying a novel mechanism that regulates cell identity in axial mesoderm development

第14回 (2022年11月29日(火) 15:30-17:30)

Speaker 1: Dr. Kristian Jeppsson (Karolinska Institutet)

タイトル: The Smc5/6 complex associates with transcription-induced positive DNA supercoils that accumulate at the base of cohesin-dependent chromosomes loops

Speaker 2: Dr. Andrea Kriz (Harvard Medical School)

タイトル: Balancing cohesin eviction and retention prevents aberrant chromosomal interactions, Polycomb-mediated repression, and X-inactivation

第13回 (2022年3月24日(木) 13:00-14:00)

Speaker: 前原 ⼀満 先生(九州⼤学 ⽣体防御医学研究所, JSTさきがけ)

タイトル: 単⼀細胞オミクスデータの性能評価から利活⽤まで

要旨:
 開発・改良の続くオミクス計測技術の課題に寄り添い、適切に情報を要約し、知を引き出すためのデータ解析技術に期待が高まっている。本講演では、我々の開発した単一細胞レベルのエピゲノム計測法ChIL、およびChILを応用した組織エピゲノム解析の試みについて、情報解析部分に焦点をあてて説明する。さらに我々の近年の取組みであるDEG(発現変動遺伝子)の代替的コンセプトDFCの提案や、組合せ論的ホッジ分解による細胞運命の流れの要約法など、単一細胞解析の課題に寄り添ったデータ解析法を紹介したい。

第12回 (2022年2月18日(金) 13:00-14:00)

Speaker: 岡部 篤史 先生(千葉大学大学院 医学研究院 分子腫瘍学)

タイトル: 癌ウイルス感染によるクロマチン構造異常と発癌

要旨:
 クロマチン構造は細胞種特異的な遺伝子発現を制御しており、その破綻は癌を始めとした疾患を引き起こすことが知られる。胃癌におけるクロマチン構造異常と発癌への関与を解明するため、ゲノムワイドなクロマチン構造解析を行い、癌ウイルスを原因とする胃癌に特異的なヘテロクロマチン構造の破綻を見出した。更に、この現象はウイルス-ホスト間のクロマチン相互作用が原因であることを明らかにした。癌ウイルスがもたらすダイナミックなエピゲノム・クロマチン構造変化と発癌への寄与について報告する。

第11回 (2022年1月18日(火) 13:00-14:00)

Speaker: ⽩⽯ 友⼀ 先生(国⽴がん研究センター研究所 ゲノム解析基盤開発分野)

タイトル: クラウドを使ったゲノム解析基盤

要旨:
 ゲノム医療の実装が進み、加速度的に各種オミクスデータの蓄積が進む中で、膨大なデータを効率的に解析・共有するためにクラウドの利用が不可欠になりつつある。本講演ではまず、クラウドを利用したゲノム解析の状況について外観する。次に、クラウド上でのセキュアな全ゲノム解析のための取り組み、公共データベースから知識発見を行うプラットフォームについて紹介する。

第10回 (2021年12月14日(火) 13:00-15:00)

Speaker: 岩嵜 航 先生(東北大学 生命科学研究科 進化ゲノミクス分野)

タイトル: 統計モデリング入門2: 一般化線形モデルから階層ベイズまで

要旨:
 私たちが研究対象とするようなシステムは複雑すぎて、あるがままに捉えることはできない。単純化・理想化して扱いやすいようにモデル化し、限られたデータを通して統計的に解釈するのが科学のやり方である。本セミナーでは回帰モデルを軸にして統計モデリングの基礎を解説する。確率分布を重点的に解説した前回に続き、今回はそれを使って一般化線形モデルから階層ベイズモデルまでの発展を追う。
(第7回セミナーの後編となります)

第9回 (2021年11月19日(金) 13:00-14:00)

Speaker: 伊藤 薫 先生(理化学研究所 生命医科学研究センター 循環器ゲノミクス・インフォマティクス研究チーム)

タイトル: 循環器疾患におけるゲノムワイド関連解析の現状と将来展望

要旨:
 循環器疾患のなかで私たちが日常的に遭遇する冠動脈疾患や心房細動などは、一部の家族性発症症例を除いて明確な遺伝形式を示さない。このような疾患は弱い遺伝的要因が積み重なって発症することが、ゲノムワイド関連解析(Genome-wide Association Study: GWAS)の手法によって、世界で初めて明らかにされた(Nat Genet. 2002)。現在、このようなGWAS研究は高密度化・大規模化し、疾患バイオロジーを明らかにするだけでなく、その情報が臨床に応用されるまでに至った。本演題では、循環器疾患を中心に大規模GWASの成果と、今後の可能性について議論したい。

第8回 (2021年10月29日(金) 13:00-14:00)

Speaker: 粟津 暁紀 先生(広島大学 統合生命科学研究科)

タイトル: マウスES細胞の分化に伴うX染色体ペアリングの駆動力

要旨:
 分化誘導された雌マウス由来ES細胞では、分化開始1〜3日後の間、X染色体同士の特異的接近が見られる。これはX染色体不活性化や概日リズム、代謝における重要な役割を担う。一方、40本の染色体がひしめく核内でX染色体同士があたかも大域的に探索・認識し合うかのように近接する機序は、未だ不明である。本研究では、各染色体のエピゲノム状態と力学的寄与に基づく数理モデルを構築し、X染色体動態の駆動力を探索する。

第7回 (2021年9月30日(木) 13:00-14:00)

Speaker: 岩嵜 航 先生(東北大学 生命科学研究科 進化ゲノミクス分野)

タイトル: 確率分布を理解する統計モデリング入門

要旨:
 私たちが研究対象とするようなシステムは複雑すぎて、あるがままに捉えることはできない。単純化・理想化して扱いやすいようにモデル化し、限られたデータを通して統計的に解釈するのが科学のやり方である。本セミナーでは回帰モデルを軸にして統計モデリングの基礎を解説する。特に、現象を確率過程として捉えること、モデルの部品として確率分布を使いこなすことに重点を置く。

第6回 (2021年7月16日(金) 13:00-14:00)

Speaker: 岩田 通夫 先生(九州工業大学大学院 情報工学研究院 生命化学情報工学研究系 )

タイトル: 多様なヒト細胞における薬物応答トランスクリプトームの予測と創薬応用

要旨:
 ヒト細胞における薬物応答の遺伝子レベルでの理解は創薬の重要課題である。しかし、すべての薬物やヒト細胞の組み合わせに対して網羅的に薬物応答を観測することは困難である。本講演では、テンソル補完技術を用いて多様なヒト細胞における未観測の薬物応答を予測する機械学習手法を取り上げる。また、我々が取り組んでいる様々な医薬ビッグデータを活用した創薬アプローチについて紹介し、今後の展望についても議論したい。

第5回 (2021年6月11日(金) 13:00-14:00)

Speaker: 田崎 創平 先生(北海道大学大学院 理学研究院数学部門 )

タイトル: 細胞のシグナル伝達系のデータ同化

要旨:
 生命現象のシミュレーションには、数理モデルに内在する不確実性のためにしばしば困難がつきまとう。本講演では、細胞性粘菌の走化性シグナル伝達系のパターン形成を取り上げる。データ同化の手法を用いて数理モデルと蛍光顕微鏡画像を融合することで、シグナル伝達系の多様な振る舞いの特徴付けと細胞内部状態の推定を行う。数理モデルとデータの融合による、生物理論の深化と予測システム発展の可能性を議論できれば幸いである。

第4回 (2021年5月27日(木) 11:00-12:00)

Speaker: 山中 総一郎 先生(東京大学大学院 理学系研究科 生物科学専攻)

タイトル: マウス胎児期生殖細胞における染色体構造の解析

要旨:
 マウスなどの哺乳類の生活環において、ゲノムワイドなリプログラミングは受精直後の受精卵と生殖細胞で二度起こる。これらの時期に遺伝子発現に抑制的なエピジェネティックマークが消失することが、「多能性の獲得」や「両親から受け継いだエピゲノム記憶の書き換え」につながる。その後、新規DNAメチル化によって、ゲノムワイドな「プログラミング」が起こることで、正常な発生が進行する。この「プログラミング」時に、その受け手となるクロマチンがどのような質的変化を遂げているかに関して、不明な点が多く残されていた。我々はこれまでに、新規DNAメチル化が進行中のマウス生殖細胞(ゴノサイト)を用いてクロマチン状態を解析してきた。その結果、体細胞ではヘテロクロマチン化されている多くの領域がゴノサイトで一過的にユークロマチン化するなど、ゲノム構造が広範囲に再構築することを見出している。しかし、このクロマチン変換の生物学的意義、および、その責任因子に関しては不明な点が多い。そこで、ゴノサイト期特異的なクロマチン状態変化に寄与する因子の探索を試みた。

 ゴノサイトは不均一な細胞集団であるため、まずゴノサイト期の複数のステージのサンプルを用いてシングルセルRNA-seqを行った。その結果、ゴノサイトは4種類の細胞集団に分類されることが明らかとなった。また、発現変動解析により15個のクロマチン修飾関連遺伝子がゴノサイト期に一過的に発現上昇することも見出している。本セミナーでは上記の研究成果に基づいて、“クロマチンの再構築”が担う生殖細胞の恒常性維持への影響に関して議論したい。

第3回 (2021年4月22日(木) 15:00-16:00)

Speaker: 永江 玄太 先生(東京大学 先端科学技術研究センター)

タイトル: 網羅的NGS解析を用いたエピゲノム制御機構と疾患病態の解明

要旨:
 細胞の形質獲得とその維持は、多階層の遺伝子発現調節機構に支えられている。次世代シーケンサー(NGS)を用いた包括的解析はスケーラビリティと観測精度が急速に向上しており、多検体の横断的解析や高精度・高感度な解析が加速している。本講演では、癌ゲノムやヒトエピゲノムの国際コンソーシアムを含めた、さまざまな研究プロジェクトにおける解析実施例を紹介するとともに、今後の展望について議論したい。

第2回 (2021年3月23日(火) 13:00-15:00)

Speaker: 柳川 正隆 先生(理化学研究所開拓研究本部佐甲細胞情報研究室, JST さきがけ)

タイトル: GPCRの細胞内1分子計測に基づく薬効薬理評価

要旨:
 Gタンパク質共役型受容体(GPCR)は細胞膜で外界からの情報入力を司るため、主要な薬の標的となる。本発表では、多様なGPCRに共通した活性化に伴う1分子動態変化について薬理学的な背景を踏まえて紹介する。また、細胞内1分子計測に基づく次世代ハイコンテント解析への展望を議論する。1分子動画解析を例に、今後ますます重要になるバイオインフォマティクスと実験生物学の連携についても議論したい。

第1回 (2021年1月27日(水) 13:00-15:00)

Speaker: 酒井 晶子 先生(新潟大学大学院医歯学総合研究科神経発達学分野)

タイトル: 経験が脳を発達させる仕組み ― 遺伝子発現制御の観点から

要旨:
 子どもの脳には、経験に応じて神経回路を活発に再構築する「臨界期」がある。この時期の神経細胞の発達・調整不全による興奮性 抑制性のバランスの異常は精神疾患につながる。我々は、転写因子 Otx2 が経験により大脳皮質抑制性ニューロンの発達を促し、臨界期を開始させることを示してきた。本講演では、 Otx2 およびクロマチン高次構造を司るコヒーシンの役割に着目して、経験による脳発達の遺伝子発現調節機構を紹介する。